何も変わっていない

10年くらい前、思っていたよりたくさんの人が読んでくれた音楽ブログをやっていた。死なないために文章を書いていた。気づいたら生き甲斐になっていた。

その後、私の人生にはありえないはずの変化がたくさん起こり、そのブログを書いていた居心地の良い西早稲田ワンルームから引っ越した。

 

今はなぜか郊外の静かな住宅地にある、庭付き一戸建ての広いリビングでPCを開いている。信じられない。私は何も変わっていないのに。

朝、自転車の前後に2歳児と4歳児を乗せて、幼稚園に行った。信じられない。私は何も変わっていないのに。

風邪を引いて仕事を休んだ夫が、視界の端っこで寝ている。信じられない。私は何も変わっていないのに。

 

ひとりで狭いところにいるのが好きだ。自転車は子どもの頃に禁止されていたので、あまり得意ではない。性自認は揺れ続けている。男性が苦手だ。恋愛は人生に必要ない。結婚は家父長制の強化に加担する制度だ。私は何も変わっていない。

それなのに、知らない人からも「奥さん」「ママ」「お母さん」と呼ばれる道を選んだ。性自認的にもフェミニストとしても茨の道になるのは分かっていた。でも。だからこそ。だって。色んな理由を並べてみながら、日々進んでいる。

茨の道でも進めているのは、隣にいる人が庭仕事が得意だからか。

 

結婚生活は5年が過ぎた。育児が始まって4年が経つ。少しずつ、読書をしたり楽器を触ったりする時間が作れるようになってきた。

前のようにちゃんとテーマを決めたりは出来ないけれど、適当に書いてみる。日々進むために。

私は何も変わっていないから。